お嫁入りした 100年前の French cello

2023年7月15日土曜日

教則本について

 午前中、小学生二人のレッスン。一人は今月から始めた小学生4年生のHちゃんの2度目のレッスンでした。楽器の構えや開放弦でピッツィカートを少ししてみましたよ。子供にとってチェロは大きいから、自分の体の一部として扱えることが必要最低条件。繰り返し膝で支えられるように練習してみました。疲れないか聞いてみると『面白い!』と素直な反応。真剣に聞いているHちゃんは本当に音楽が大好きな女の子だと感じました。弟さんがヴァイオリンを習っているそうで、いつか姉弟でデュエットができるといいね!


以前、ドブリンガーで見つけたチェロ教本

7、8年前からこの教本を使っているが、開放弦だけの練習にも先生の弾くパートにはファンタジックなメロディーがつけられていて、楽しく想像力を養いながら進んでいける。選択肢の少ないこともあるが、ほとんどが昔から決まった教本を使っていて、なんでもネットで手に入れやすい時代なはずなのに楽譜の情報が少ないのはとても残念。

2023年7月10日月曜日

旅のお話5

 5月29日(月)快晴 25℃

今日はウィーンから南へ26キロ、オペラ座前から路面電車(WLB)で1時間の温泉保養地、バーデンを訪れる。ここはベートーヴェンが1821〜1823の夏に住んだ家が博物館になっている。ちょっとした小旅行気分。夜はオペラ座での音楽とバレエの夕べを鑑賞予定。

朝8時半、電車乗り場へ向かう途中、
ホテルザッハーのカフェ前にはもう行列ができていました。

オペラ座前からバーデン行きの電車に乗り、約1時間で終点のバーデンに到着。


駅前からのんびり街中を散策。
こじんまりした静かな街です。

朝からカフェでくつろぐ人々の他には、日曜日ということもあって人もまばら、、、
ゆったり流れる時間。

ここはワインで有名な街、家の壁には綺麗な葡萄の装飾が描かれていました。

ベートーヴェン・ハウス

ベートーヴェンが使用していたピアノ
この家でベートーヴェンは第9のほとんどを作曲したと言われる。


コンラッド・グラフというウィーンのピアノメーカーのピアノ。このメーカーはリストとやショパン、シューマンも気に入って使っていたそうだ。

ここでは貴族やウェーバーたち音楽家とも交流があった。


ウェーバーの肖像画
いかにも人の良さそうな顔



モーツァルトやシューベルトなどの顔が見える。親交があったのでしょう。


ベートーヴェンが滞在した1821にバーデンの町が大火に見舞われ、町の復興のため慈善演奏会を開いたことがわかった。ベートーヴェンの優しさが垣間見えた気がした。


風貌とは違い几帳面さが伺える自筆譜


亡くなった直後に切ったと言われる
栗毛色のベートーヴェンの髪の毛


アルコールの摂りすぎで肝硬変、糖尿病
リウマチ、糖尿病による目の不調など
冬に起こる耳痛、耳鳴り、指の化膿性炎(外科的治療)1818年には右耳は難聴だが左耳に残存聴力あり、などなど、、耳だけではなく病気を持っていたベートーヴェン。そんなこともあって保養に訪れていたのでしょう。

改修されたベートーヴェンが住んでいた頃の壁
なかなかオシャレ。

エレベーターでかがみ発見😅、つまらない景色だけれど撮っておこう。
博物館は見学者が一人もおらず貸切状態。お陰でゆっくり楽しめました。


当時の風景を再現したジオラマ
橋の上に立っているのはベートーヴェン?
ここで聴いた(ヘッドホン)シンフォニー、歌曲、カルテット、ピアノ曲はどれもロマンティックでついつい聴いてしまう。ベートーヴェンはバーデンのロマンティックな風景が大好きで、ここを訪れると怠け者になってしまうと自身で話していたそうだ。

記念に館の方に撮っていただきました。

今回たくさんの収穫があって、とても興味深い旅だった。
こののんびりした町の居心地の良さに、もう一度訪れたいと思ったのでした。

時が止まってしまったかのようにのどかな商店街
ここの空気に癒される、、、こういう時間が欲しかった。

店先のイスに腰掛けマンゴアイスを頬張る。

保養に来た人たちかしら?

教会の日曜のミサ
中をちょっとだけ覗く。

ウィーン市内に戻ってきました。
市内にはアルプスの天然水が自由に飲める水飲み場があって、
ペットボトルに入れている人がたくさん居ました。

ユリウスマインルの近くにあるエステルハージーケラーで軽く食事をとる。

バゲット、ハムサラダ、チーズ、アップルタイザーを注文。
と言っても頼むとこの量!少食の私には多すぎ〜
わかってはいたけれど、20枚はありそうなハムを頑張って半分いただきました〜。
別なものを注文するべきでした。
ここでもやっぱりウェイターのおじさんが『味はどう?美味しいでしょ!それで足りる?何か注文する?』と話しかけてくる。イタリア系?の根明なおじさんでした。

食後に入ったデメル
デメルの前はいつも長蛇に列、今日は覚悟をして並んだら意外にもスムーズ。
後ろに並んでいた韓国人の方の写真を撮ってあげたら、偶然にもテーブル席もお隣になり、カタコトの日本語ができる小学生の男の子のお母さんとおしゃべり。なんでもヨーロッパのカフェ巡りをしていて、ウィーンを最後に明後日帰国するとのこと。旅ならではの出会いとおしゃべりで楽しいティータイムを過ごせました。

マンゴーケーキ&ミントティー

ん〜ん!どれも美味しそう!
充分にお腹も満たされてケルントナー通りへ出て、孫ちゃんたちへのお土産を探しにぶらぶら、、、

朝から遠出をして疲れたので、バレエの夕べまでホテルに戻って体を休めることにしました。

オペラ座正面

入り口で開場を待つ人たち


豪華なホワイエ


始まる前の会場、ステージ

オケピットものぞいちゃいました。

休憩時間、煌びやかな会場の雰囲気を楽しむ

終了後のステージ


ゴールドベルク変奏曲と題されたバレエのゆうべ

前半の音楽:アルヴォ・ペルトの2つのヴァイオリンと弦楽オーケストラ
演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団 
後半の音楽:ゴールドベルク変奏曲                        
演奏:アンナ・ブーヘンホルスト


古典バレエと違ってモダンバレエの独特の体の動きが面白かった。ストーリー性はなく、人間の欲望や忠誠、喜びや悲しみなどさまざまな心の感情を30の変奏曲にのせて体で表現していた。こういうバレエも自分からはなかなか見るチャンスもないし、音楽も踊りも両方楽しめて有意義な時間だった。二人の主役のうちの一人の男性や衣装担当が日本の女性だったが、異邦人としてさまざまなハンディーがある中でこうして活躍している日本人を見るにつけ、とても頼もしい気持ちになった。

今日は結構タイトなスケジュールになってしまったけれど予定を完逐。ゆっくりお風呂に浸かって寝ましょう。

10時就寝

旅のお話4

 5月28日(日)快晴 24℃

         まい朝楽しいホテルの朝食
*レモンジュース(デトックス)
*牛乳
*フルーツヨーグルト
*クロワッサン&トースト&パンケーキ
*2種類のピクルス
*スクランブルエッグ
*ウィンナーソーセージ&カリカリベーコン&ハム
*キノコのソテー
*2種類のチーズ
*ブドウ
*食後にモーニングティー

今日は楽しみにしていたウィーンフィルの2回目のコンサート
この日は午前11時からのコンサートなので、少し早めに出かけて市立公園を散歩したり
かつて mさんが夏期講習を受けた音楽大学を訪ねてみるつもり。

シュタットパーク(市立公園)の有名なヨハンシュトラウス像

コンツェルトハウス前にあるヴァイオリン工房
制作者ヴァレル・ノイアーのお店の看板

反射して見えずらいけれどウィンドウには額に入った弦楽器のパーツが飾られていました。

ホール前の公園にはベートーヴェンの銅像がある。

ベートーヴェン広場にあるアカデミーギムナジウム
シューベルトは1808〜1813までこのアカデミーの学生だったようだ。

この辺りに音楽大学がありそうだけれど
あまり時間もないのでまた今度ね。

公園側から見たコンツェルトハウス



アールデコ装飾の広々したホワイエ


開演前にちょっと一口

豪華な天井

100年以上経つホールは床も座席も木でできていて、ドーム状のステージと広々した会場は開放感があって気持ちがいい。天井が高くステージも高いので、バルコニー席で大正解。ちょうど音が耳の高さにストレートに届いてとても聴きやすかった。レトロな雰囲気も落ち着く。ムジークフェラインも良いけれど、こちらのホールの響きが自然で好きだなー。

コンツェルトハウス
第40回 国際音楽祭オープニングコンサート
11時開演 大ホール

プログラム
リゲティ:オーケストラのためのアトモスフェール
シベリウス:ヴァイオリンコンチェルト
シューマン:シンフォニー第2番

Vn:リサ・ヴァティアシビリ
指揮:フィリップ・ジョルダン
オケ:ウィーン・フィルハーモニー

リゲティは『2001年宇宙の旅』の挿入曲で有名な作曲家だけど、メロディがなく、心地よい不協和音と神秘的な響きが特徴。以前、ダニエル・ハーディング指揮で同じ曲をベルリンフィルの演奏で初めて聴いた時は掴みどころのないつまらない曲だと思っていたけれど、今回は2回目ということもあって、ブルックナーのようにある意味、霧のような音楽として捉えて聴くとなかなか面白いと感じた。そう言えば、以前ミケッレさんとこのホールでブルックナーの5番を聴いたことがあったけれど、着いた翌日のコンサートだったことで時差ぼけで眠ってしまったことがあった。『もったいないなー、折角の良い演奏だったのに、、』と言われたことがあった。

シベリウスはヴァイオリンのヴァティアシビリの爽やかな音色がとても魅力的だった。1楽章でヴィオラのソロとの絡みがあるところは、ヴァティアシヴィりが後ろを振り向いてヴィオラと楽しそうに弾いていたし、終楽章の内声部の刻みが充実してるところなんか、あんな風に弾けたら気持ちいいだろうなーと感じた。そしてオーケストラは決して遠慮して弾いているわけではなく弓も結構つかって弾いているけれど、ソリストがそれを上回って聴こえてくる。もちろんそれだけの腕と楽器を持ったソリストでしょうから。あとはホールの音響の良さとか湿気のない土地柄だから楽に音が出るということもあるのかもしれない。アンコールはバッハの無伴奏。終わった後に何度も指揮者と抱き合うヴァイオリニスト。皆がうまくいったことを共有し、嬉しそうにしている光景を見るのはまた楽しい!

最後、シューマンの2番はこれは本当に鳥肌ものでした!素晴らしいの一言!曲そのものの出来がいいということもあるけれど、オケ全体のまとまりが凄かった。メンバーの一人一人が楽しそうに乗って演奏しているのが伝わってくる。床からの振動がビンビン伝わっきて各セクションごとのまとまり素晴らしく一つの塊になって聴こえてくる。指揮者のフィリップジョルダンは時に細かいニュアンスを丁寧に作ったり、強烈な音を求めたり、メリハリが効いている。きっとオケとの相性がいいのでしょう。演奏が終わってスタンディングオーベーションで拍手が鳴り止まず、、、この1曲が聴けただけで来た甲斐があったというもの。心が満たされたコンサートでした。

カーレンベルクの丘の上からドナウ川とウィーンの街を臨む

その後、コンサートの余韻に浸ろうと思い、景色のいい静かなカーレンベルクへ出かけた。一つ手前のコベンツルのバス停で降りようか迷ったけれど結局終点の丘まで行ったのが間違いだった。「コンドルは飛んでゆく」の生演奏が広場中に鳴り響き、まるでお祭り騒ぎのように人でごった返していた。訪れるたびに人が増えてはいたものの、初めて訪れた20年前は人もままばらで、古い木造のレストランとお土産物のお店が一見あるだけだった。ショックで、ドナウ川の写真を一枚撮って、レストランのぬる〜いクランベリージュースを半分飲み、すぐに麓のグリンツィングまで降りてきてしまった。



早くにグリンツィングに降りてきてしまったので、まだホイリゲの開く時間には早く、結局空いているレストランでピノノワールとピザを頂きました。美味しかったけれど半分がやっとで、残りは包んでもらいました。ここは静かで小鳥のさえずりが聞こえてきて、むしろゆっくりできて良い時間を過ごせました。ほっ、、、

グリンツィング、トラムの乗り場(単線)
終点であり始発駅

市内に戻ってくるとトラムからヴォティーフ教会が見える。
フランツヨーゼフ1世が暗殺の企てから逃れたことを神に感謝して建てられたゴシックの美しい教会。

楽しみにしていた今日のコンサートは期待を裏切ることない素晴らしい演奏だった。
帰りにグラーベン通りのユリウスマインルでチョコレートを買ってホテルに戻る。じゅうぶんに満足の一日でした。
10時就寝